2014年3月3日
~ 生産設備を持たないメーカーが生まれている ~
少し前になりますが、アメリカのシリコンバレーにあるあるIT会社が電気自
動車を発売しました。今までシステム設計しかしてこなかった会社がある日突
然、自動車を発売したのですから驚きです。
しかしこの会社には工場もなく、自動車の設計者もいませんでした。あった
のは「これからの時代、電気自動車は有望だ」と言う確信でした。
今、設計もしない生産設備も持たないメーカーが生まれ始めています。商品
企画のアイデア(発想)を持ち、設計をする技術者や作ってくれるメーカーを
探してモノづくりを行っておられます。
従来の発想だと社内に商品企画部・設計部門があり、工場を建て生産を行う。
全て自前というのが普通でした。自社の技術・ノウハウは門外不出。我が社だ
けのオリジナル製品づくりが尊ばれていました。というより、そうするしか手
はなかったのです。
ところが時代が変わりました。大手メーカーをスピンアウトしてフリーで設
計を請け負う技術者がいて、不況から仕事量が減り、少しでも仕事がしたい技
術力のある小さな工場があります。
それに一流メーカーのオリジナル部品に負けない高い性能を持つ汎用部品も
あります。そこに眼をつけたのが「生産設備を持たないメーカー」です。
商品企画は行うが実際の設計は経験値の高い技術者にお願いする。そして、
優れた加工技術をもつ工場で安価な汎用部品を使って生産をお願いすれば大手
に負けない良い商品が作れるという事がわかってきたのです。
もちろんオリジナル部品にこだわることも大切ですが、スピードで勝負する
なら汎用品を使ってそのパフォーマンスを引き出す方法はとても合理的なやり
方なのです。
優秀な設計者と優秀な工場がそれぞれが、それまで蓄積されてきたノウハウ
を提供し合い相乗効果を生み出します。経験値が高いので、行き詰まる事が少
なく、時間ロスも少ないのが特徴です。
こうしたやり方を水平分業と呼びます。もちろん、旗振り役の会社は大変で
すがその気になればそれぞれの強みを活かした製品を生み出す事は決して難し
い事ではないようです。
水平分業では利益を独り占めすることはできませんし、協業仲間に対して業
務上の隠し事もできなくなるといと思います。しかし協業による新たなアイデ
アが生まれ、苦労を共にすることで真の仲間になれるはずです。
この水平分業こそ小さな会社が大きなビジネスに挑戦できるやり方です。
有望市場が見つかったら、事業を核にして協力社を探して新たな分野に挑戦
してみては如何でしょうか。会社を飛躍させるチャンスがそこにあるかも知れ
ません。